お知らせ

デザセン休止のお知らせ 

~全国高等学校デザイン選手権大会をご支援いただいた皆さまへ~

1994年の初開催以来、「全国高等学校デザイン選手権大会(通称:デザセン)」は、知識の詰め込み型学習にとどまらず、「コトの本質」に目を向け、自ら考え、解決策を提案する力を育む教育の実践の場として、多くの高校生とともに歩んできました。そして今回、デザセンはひとつの大きな節目を迎えます。

1990年代初頭、「デザイン」という言葉は、主に形や見た目といった造形的な意味合いで使われていました。そんな時代に、本大会は既成概念にとらわれず、デザインの本質を見つめ直し、再定義するムーブメントとして誕生しました。

単なるコンペティションではなく、教育的な価値を重視し、高校生が地域や社会、身近な暮らしの中にある課題に自ら気づき、その解決策を導き出す――そんな学びのプロセスを、学校現場でも活用できるように提供してきました。

高校生たちは、多角的な視点で社会課題に向き合う中で、問題発見力・分析力・解決力だけでなく、チームで協力し合うことで育まれるコミュニケーション力や、考えを伝えるプレゼンテーション力といった、現代社会で必要とされる実践的なスキルを身につけてきました。これまで数多くの素晴らしい提案が寄せられ、私たちはそのたびに若い世代の可能性を実感してきました。

30年が経ち、「デザイン」は今や、形づくることにとどまらず、課題解決のプロセスや思考法として社会の中で広く認識されるようになりました。また、小中高の教育現場では「総合的な探究の時間」が導入され、「知識を知恵に変える」というデザセンが掲げてきた理想の教育が広がりつつあります。こうした状況をふまえ、私たちはデザセンが果たしてきた役割が一つの成果を迎えたと考えています。

この節目を機に、「デザセン」は一旦休止し、これまでの大会を通じて蓄積された成果を振り返り、高校教育の現場で今後どのように活用できるかを検討してまいります。今後は、東北芸術工科大学が運営する「探究型学習協働プロジェクト」にて、デザセンの精神を引き継ぎ、高等学校と連携しながら、デザイン思考を活用した探究型学習の教育・指導法の研究開発を続けてまいります。

これまでデザセンに参加してくださった高校生の皆さん、ご指導くださった先生方、大会を支えてくださった後援団体の皆さまをはじめ、関係者すべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

今後、日本の創造性教育がさらに発展していくことを願っております。

全国高等学校デザイン選手権大会開催委員会会長                                    東北芸術工科大学学長  中山 ダイスケ

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