2013|GOLD|優勝・高校生賞

『Sexchange Day』

富士北稜高等学校(山梨県)
渡邉紀子(3年)/川口智矢(3年)/梶原みな美(2年) 指導教員:菅沼雄介 教諭

自分と世界を見つめ直す日

私たちは、たくさんの「あたりまえ」に支えられて安定した社会生活を送っていますが、そんな日常の中で、自分の思考を停止させている高校生もいるのではないでしょうか。成績を上げるためだけの勉強、核廃棄物の行き場がない原発、減り続ける子どもと増え続ける財政赤字など、「あたりまえ」の延長線上には明るい未来は見えません。いま、私たちに求められているのは「あたりまえ」から離れてみること。そこに問題解決に向けた希望があるのです。そこで、いつもとは違う感覚を呼び起こすために、『Sexchange Day』を提案します。年に1日、男女の制服を交換して1日を過ごし、身近な常識である「男らしさ」、「女らしさ」から離れてみることで、「あたりまえ」が消えてあるがままの社会と自分が浮かび上がり、リアルな世界を見据えて意志と覚悟を持った人が増える。他人の判断を尊重し、多様性を持った寛容な社会が生まれ、いろいろな問題が解決できるのではないでしょうか。

『Sexchange Day』
『Sexchange Day』

二次審査時の提案パネル 

受賞者の声

渡邉紀子 Noriko Watanabe

渡邉紀子 Noriko Watanabe

私はあたりまえの世界のなかで、生きているのだなと実感していました。一度しかないこの人生をもっと常識に沿って生きるのではなく、自分らしく生きたいと思えたのは、デザセンがあったからです。辛いことも楽しいこともありましたが、デザセンに出場してよかったです。

川口智矢 Tomoya Kawaguchi

川口智矢 Tomoya Kawaguchi

案を考えている時は、山形に行けたらいいねというような感じだった。山形に行ける時はまさかと思ったが、やるぞとも思った。シナリオづくりでは本当に大変で、言い合いになることもあった。考えがひとつに集まらない時は、原点に戻ることが大事なんだと思った。高校生らしいとよく言われたけど、「デザイナー」としてやれたつもりだった。この経験を自信に変えて今後も挑戦していきたい。

梶原みな美 Minami Kajihara

梶原みな美 Minami Kajihara

私は先輩方のお手伝いという形での参加でしたが、こんなに素晴らしい結果を残せてとてもよかったです。本番は緊張しすぎて右も左もわからない状態でしたが、全力を出せた発表でした。今思えば、ああすればよかった、こうすればよかったと思うところも多々ありますが、それを踏まえても自分の成長につながる大きな一歩だと思っています。ここで足を止めず、また一歩先へ進んでいきたいです。

菅沼雄介 教諭 Yusuke Suganuma

菅沼雄介 教諭 Yusuke Suganuma

建築デザイン系列の教諭として、建築を問題解決のツールとして提案できる人間を育てたいと考えて、日々の指導に取り組んでいます。生徒とのやり取りのなかで感じるのは、自ら問いを立てることに対するためらいです。問題は正解と1セットで、誰から与えられるものであるという、受身的で固定的な思考の枠組みを外すところが、最も時間とエネルギーを要する部分かもしれません。「明日の社会を見つめ、明日の世界を創造する」というテーマで、問題発見・課題解決を図るというデザセンは、批判的な思考力を養うのに格好の機会となっています。3人1組で話し合い、行き詰まり、思考と判断を積み重ね、プレゼンテーションをおこなうという作品づくりは、最小限のコミュニティづくりであるともいえます。そんな6月からの小さな社会づくりを通じて、自分たちが明日の世界を創造できるかもしれないという希望を持たせることができたならば、それこそが最大の成果であると考えます。