2009|優勝(文部科学大臣賞)

『故人との思い出の取り扱い』

九州産業大学付属九州高等学校(福岡県)
若浦友紀(3年)/隈本里紗(3年)/野口恵利香(3年) 指導教員:占部政則 教諭

位牌にメモリを内蔵、故人のメモリーをいつも鮮明に。

故人の思い出の品は少しでも多く残しておきたいものですが、置き場に困り、やむなく整理してしまう家庭も少なくないように思います。また、思い出の品が残っていたとしても、押入れの奥などに仕舞い込まれ、いつでも見られる訳ではありません。この問題を現代の技術を活かして解決したいと考え、故人の写真や、好きだった音楽、映像などの思い出の品をデジタルデータ化し、保存することのできる「フラッシュメモリ内蔵型の位牌」を提案します。位牌はいつも表に出ているものなので、すぐ手に取ることができます。また、デジタルデータは時間の経過による劣化がなく、簡単にコピーすることができるので、例えばこれまで本家でしか見ることのできなかった故人のアルバムが、分家の各家庭でも見られるようになります。本家でデータを失うようなことがあっても、分家のデータを基にコピーし直すことができます。位牌の札ふだ板いたを受うけ花ばなから取り外すと、USBコネクタが現れます。これを一般的なUSBメモリと同じように、パソコンのUSBポートに差し込んで使用します。位牌は故人の魂の依より代しろであり、故人自身と言えるかもしれません。位牌に故人の思い出が詰まっていれば、位牌への愛着が増し、故人への想いをより強く感じられるはずです。自殺や殺人事件などの報道を目にする度に、命を軽んじているように思います。命は、親から子へ、子からまたその子へと永い命の繋がりによって生まれてきたものです。この位牌に手を合わせ、故人を想うことは、命の大切さを改めて考えさせてくれるはずです。

『故人との思い出の取り扱い』
『故人との思い出の取り扱い』
『故人との思い出の取り扱い』
『故人との思い出の取り扱い』

一次審査提案パネル  PDFダウンロード

受賞者の声

若浦友紀 Yuki Wakaura

若浦友紀 Yuki Wakaura

発表前日までシナリオを書き直したり、宿泊先で寝落ちするまでみんなで練習しました。色んな壁にぶち当たり、苦しいこともありましたが、今回優勝できたのも、学生スタッフの方々の支えと、それまでの努力の賜物だと感じます。様々な場で活躍されている審査員の方々からのご意見やご感想は、普段は聞けないようなことばかりでとても新鮮でした。この経験を基に、将来の夢に向かって突き進んでいこうと思います。

隈本里紗 Risa Kumamoto

隈本里紗 Risa Kumamoto

本番までの期間は、先生のアドバイスをもらいながら準備をし、3人で協力して進めていきました。リハーサルはピリピリとした雰囲気で、少し気が張っていましたが、本番は柔らかい雰囲気だったので、落ち着いてプレゼンすることができました。優勝した時は、本当にうれしかったです。交流レセプションでは、審査員の方々のお話を聞く事ができ、他の高校生ともお話ができて、楽しかったです。ありがとうございました。

野口恵利香 Erika Noguchi

野口恵利香 Erika Noguchi

決勝大会に行くと決まった時は、プレゼンするにあたり、期待と不安がありました。ですが、本番では、緊張もなく、気持ちのいいプレゼンができて楽しかったです。チームサポートの2人にも支えられ、先生にもみんなにも支えられ、感謝の気持ちでいっぱいです。山形での3日間は、とても貴重な体験となりました。本当にありがとうございました。

占部政則 教諭 Masanori Urabe

占部政則 教諭 Masanori Urabe

今回2年連続で文部科学大臣賞を受賞する事が出来、私をはじめ生徒たちも大変嬉しく思っています。いつも決勝大会への出場が決まった時は、「やった!」と思う反面、「どうしよう…」と悩みます。特に今回は内容が内容だけに、私自身の指導の方向性をどこに持っていくのか、大変悩みました。プレゼン内容は指導する側の持って行き方によって大きく変わります。「自分の方向性は正しいのか?」いつもこの問いで頭がいっぱいになり、不安にもなります。プレゼン自体に1+1=2の様な絶対的な正解があるとは思えません。だからその分不安も増すのです。しかし、その「不安」があるからこそ「よりよいものを作り上げていく」そういう意識になるのでしょう。「デザセンは難しい」よく生徒たちから聞く言葉です。私も「難しい」と感じています。「難しい」その理由は1+1=2の様な明確な正解が簡単に見えて来ないからでしょう。でも「難しい」からこそ「面白み」があるのです。デザセン以上に「難しい」人間社会の中に「面白み」がいっぱい隠れているように。最後に今大会の運営に携われた多くのスタッフの皆さんにお礼を申し上げるとともに、この貴重なデザセンが今後も続いていきますことを願っています。